2022 0318 2251

 

 バスに揺られながら上の空で考え事をしていたらいつの間にか2つ手前のバス停まで来ていた。扉が開くと、バス停の真横に立っていた60代くらいの女性が少々真剣な面持ちで「このバス南風原行くね?」と運転手に尋ねた。運転手は「行かないよ」と投げやりに答えると、荒々しく扉を閉めて発車した。女性は胸の前で手と手を心細く擦り合わせつつ、不安でいっぱいの表情を浮かべながら後ずさりした。「この時間(20時)に南風原まで何しに行くんやろ、今にも泣き出しそうな顔してるし、なんやろ、なんやろ」なんてグルグルと考えてしまって居ても立っても居られなくなり、コロナ対策として開けてあった小窓に顔を近付けて「南風原30番です!30番!」と叫んだ。そんなことなどお構い無しに、1速〜、2速〜、はい、3速!とテンポ良くギアを上げてゆくもんだから彼女はすぐに視界から消えた。