『XXさんとこの息子さんの奥さんがね、「お宅の梅の木の枯葉がうちのベランダまで飛んで来るので、業者さんを呼んでおきました」と言ってね、後から業者さんが来てね、こんなふうに梅の木を切ってしまったんだよ。お母さんが大事に育てていたハーブも一緒に…
「一瞬、私は幼い頃これと同じ光景を見たことがあるような気持になり、なんともいえぬ懐かしさに恍惚となった」:チェーホフ『中二階のある家』 夕暮れ時の海辺を歩いていると不思議とこのような感覚に包まれる。海のない土地で生まれ育ったから幼少期に海に…
田舎の真夜中。窓を開ければ虫の音、閉めれば無音。音のない世界。最近、布団に入ってもなかなか寝付くことができない。眠くならないわけではない、ちゃんと眠い、けど眠れない。暗闇の中で目を閉じると「お前には何もない」という声が聞こえてきて私を不安…
学校からの帰り道、自転車で Rte de Rufisque を北上していたら、突然のスコールに見舞われた。さっきまでの痛い日差しはどこへやら、バケツをひっくり返したくらいじゃ済まない土砂降りにうろたえていると、先ほどまで日陰でだらだらと井戸端会議をしていた…
ギニアビサウの≪Gabu ガブ≫ を後にして、隣国ギニアの≪Labé ラベ≫ へと向かう。今回も定員7名の車に12人が無理やり詰め込まれた。そして「(色んな意味で)危ないから」という理由で、一番後ろの席に案内された。 設計段階で全く想定されなかったであろう数…